婚奴

中国語新語

婚奴(hūn nú

日本語訳

結婚費用の負担に苦しむ人(※解説参照)

解説と補足

中国で結婚するには何かとカネがかかる。結果として巨額のローンを抱えて新婚生活を始めることとなる。これを“婚奴”という。

バブルな世相とメンツを重んじる文化が相まって派手婚が流行しているが、これは“婚奴”の主因ではない。結婚費用を押し上げているのは何と言っても不動産だ。近年中国ではマイホームで新婚生活をスタートするという風潮が広まっており、これが不動産バブルの中で大きな負担となっているのだ。故に、“婚奴”の大多数は同時に“房奴”でもある。

一般にこの費用は男性側が負担する。もちろん、準備できるのは頭金ぐらいで、ローンは夫婦で返済することになるのだが。ちなみにこのローン返済を嫌って、見合い相手の条件にローン返済済みという条件を加える女もいる。

このように中国の女たちは結婚相手に不動産を求める。見合い相手の条件に不動産所有を要とする“嫁房女”や、付き合っている男にマイホーム購入を急かす“逼房女”がその例である。

このような環境にあって、経済力に乏しい男性を中心に“婚不起”という言葉が流行っている。結婚したくても経済的に不可能、という意味だ。

もちろん、愛があれば……というカップルも多い。拝金主義的な風潮の中にあって、女性側の親(特に母親)の反対を押し切り、家や車などの「結婚必需品」はおろか、結婚式もなしで新婚生活を始める若夫婦もいる。いわゆる“裸婚”である。

もっとも、多くの女性にとって結婚式は重要な夢の一つであり、これまで省略するのは受け入れがたい、ということで、結婚式だけは行うというケースも多い。これを“半裸婚”という。

一方で結婚の形も多様化しており、“素婚”(地味婚)や“瘦婚”(倹約婚)という、低費用の形態を選択するカップルも増えている。

バブルの終焉と価値観の多様化でいずれは消滅していくものと思われる“婚奴”だが、まだ暫くの間は“婚不起”な男たちの悩みが消えることはないであろう。

新語まとめ

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