神回复

中国語新語

神回复(shén huífù

日本語訳

神回答(※解説参照)

単語

解説と補足

いわゆる「神回答」である。中国語の“回复”(回復)には「返答する」の意味があり、“神”も日本語の「神」と同じ語感で使うことができる。

中国でも日本と同様に、ネットの掲示板の他、著名人などの「神回答」が話題になるが、中でも特筆すべきなのは、役人の神回答が度々ネットで物議を醸しているところだろうか。

日本の政官界で言動が物議を醸すのは政治家と相場が決まっているが、中国では行政側の権限が強いので、役人の言動に社会的な注目を集まる。行政権が強大なため、その政策は往々にして乱暴なところがあり、社会に大きなひずみをもたらすことも多い。

一方でインターネットの普及により、世論の政治への影響力がかつてないほど高まっており、今まで一辺倒だった役人と庶民の力関係に変化が起きている。特に昨今はウェイボーなどによって言動がリアルタイムに発信されるため、以前のように情報をコントロールするのが難しくなっているのだが、このような社会的な変化に対応できない役人たちが、昔のノリで発言してしまうことがママあるのだ。以下に物議を醸してきた役人たちの言葉を幾つか紹介したいと思う。(和訳はザックリと訳したものなので、あくまで参考まで。)

事例1

“你是替党说话,还是替老百姓说话?”

“经济适用房”と呼ばれる低所得者向けのアパート用地に別荘が建てられていたことを取材した記者に対しての発言。(※和訳:「お前は党のために発言するのか、それとも庶民のために発言するのか。」)

この発言は、メディアは党の立場に立って宣伝を行うものだ、という、昔ながらの発想が抜けていない典型例。確かに今でもそうなのだが、共産党一党支配に影響を与えない限りにおいて、役人の不正を糾弾する役割も与えられている。昔に比べ、共産党の無謬性が適用される範囲が狭まっていることを認識していないのだろう。

事例2

“红色的水不等于不达标的水。……比如说放上一把红小豆,那里边也可能出红色,煮出来的饭也可能是红色的。”

工場の汚染水のため井戸水が赤く染まったことについての環境保護局の局長の発言。(※和訳:「赤い水が基準に達しない水とは限らない。(中略)小豆を入れれば赤くなるかもしれない、(小豆)ご飯を炊いても赤くなるだろう。」)

この発言は、明らかに無理な理由をつけてでも言い訳しようとする中国人の典型例。よく中国人は謝らないと言われるが、その言い訳も無茶なものが多い。

事例3

“40年后,我们是不是还存在这个世界,不要考虑太长远了。”

不動産の使用権(※注:中国では不動産はあくまで使用権の売買。)が多くの地域で70年と規定されているのに、ある地域では40年とかなり短めに設定されていることに対して疑問を持った住民の質問に対する回答。(※和訳:「40年後、私達がこの世界に存在しているかどうかもわからないのだから、そんなに先のことを考えるのはやめましょう。」)

この発言は、議論の多い不動産使用権の売買に関するもので、社会主義市場経済という現行制度上の矛盾点に関わるため、答えようがなくお茶を濁したものなのだが、その答え方があまりに人をバカにしたようなものだったのが災いした。