白奴
解説と補足
本来は16世紀から19世紀にかけてアメリカに移住した白人の奴隷を指して“白奴”というのだが、本項で紹介する“白奴”はアメリカ産ではなく、純中国産である。この“白”はいわゆる「白」ではなく、“白领”(ホワイトカラー)を指す。“白领奴隶”と読むのだ。
では大雑把に言えば中産階級に分類されるホワイトカラーがなぜ奴隷化してしまうのだろうか。ざっくりと言ってしまえば、現代中国ではさまざまな要因が重なり合った結果、この層の負担が非常に大きくなってしまったのだ。
例えば、”奴”族新語の代表例たる“房奴”の主体は、まさにこのホワイトカラーである。不動産バブルの時代にあって、低所得層は早々に諦めがつくものだが、中産階級は背伸びをすれば手が届くところに不動産がぶら下がっているのだ。これに不動産を買わずにはいられない社会的風潮が相まって、多くのホワイトカラーが“白奴”に堕ちることとなった。この点についての詳細は“房奴”の項を参照していただきたい。
この他、これまで紹介してきた“车奴”、“上班奴”、“证奴”、“节奴”などの主体もホワイトカラーである。現代中国では、とにかくこの層の負担が大きのだ。
また、中国人はホワイトカラーに対してある種のコンプレックスを抱えており、これも“白奴”という言葉が中国で生まれた要因なのでは、と思われる。