证奴
解説と補足
これまで厳しい就職事情を反映した就職転職関連の新語を紹介してきたが、就職事情が厳しくなれば、それに比例して盛り上がるのが資格ビジネスであるのは世界共通なのかもしれない。中国も多分にもれず、在学生社会人を問わず、皆資格取得に熱心である。
現在の中国はより原始的な資本主義に近い大競争社会である。競争が熾烈になると、役に立つのか否かを問わず、とにかく片っ端から資格を取る者が増えるようだ。
その努力によってもたらされるものは証書の山である。ここから、資格取得に追われる現代人を“证奴”と呼ぶようになった。文字通り「証書の奴隷」。必要なのかどうかもわからない資格に振り回される、現代人の姿を自嘲して生まれた新語である。
ちなみにだが、このような資格証書以外にも、中国社会は何かと「証明」や「証書」が要求されるシステムになっており、子供から大人まで、中国人は各種証明証書の取得に奔走している。当人たちは意識していないかもしれないが、拡大解釈すれば、大多数の中国人は“证奴”であるということができるかもしれない。