垄奴
解説と補足
改革開放政策の中で多くの分野が民間企業に開放されてきたが、それでも西側諸国に比べると、参入が制限されている分野が多い。そのような業界は少数の国営企業による寡占状態もしくは独占状態にあるケースが多く、高い収益力を誇る。そのため、給料も群を抜いて良いのだが、それはあくまでも正社員の話で、非正規職員の給料は世間の相場の範囲内でしかなく、両者の格差は非常に大きい。
ここまでなら程度の差こそあれ昨今の日本でもありそうな話だが、中国では同じ正社員であっても、平社員と管理職の待遇格差が格段に大きい。このため、正社員でも末端は世間並みだが、管理職はすごいことになっているような企業も存在する。
このような環境の中で不満を抱えつつも他に当てがなく離職しない非正規職員や、失業の恐れがない優良国営企業の正社員職にしがみついて離れられない平社員を指して“垄奴”と呼ぶ。
また、消費者の立場にから言えば、このような独占寡占状態にある業界は、サービスが悪かったり、価格が不当に高いケースが少なくないのだが、選択の余地もなく、甘受するより他ない。このような消費者を指して“垄奴”ということもあるようだ。
ちなみに“垄奴”の“垄”は“垄断”(独占する)に由来する。もとは「市(いち)にある小高い所」のことで、商人がそれに登って有利な商品を見つけることから「独占」の意味を持つようになったものだ。