租奴

中国語新語

租奴(zū nú

日本語訳

賃貸の負担に苦しむ人(※解説参照)

単語

解説と補足

“租”は住宅物件の賃貸のことを指す。“~奴”新語の鼻祖たる“房奴”の姉妹語、或いは派生語といっても良いかもしれない。

日本では不動産を購買するだけの経済力を持ちながらも賃貸で通す賃貸派が少なくないが、中国人は圧倒的に持家志向である。不動産バブルのため高嶺の花となってしまったマイホームだが、持家にこだわる中国人たちは一見すると無謀とも思われるローンを組んでマンションを購入する。これが“房奴”である。

彼らが持家にこだわるのには様々な理由がある。簡単に要約すれば、不動産は値上がりするものであり(彼らはそう思っており、また現に値上がりしてきた、しかもすごい速度で)、また結婚の必需品(ふつう男性側が準備する)であるところから、どのみち買わなければならないものであるし、買えるなら早く買った方が得だ、ということで、彼らは無理してでも購入するのだ。

では、“租奴”とはいかなる現象なのであろうか。まず第一に、“租奴”は不動産購買能力のない低所得者層である。“房奴”に成りたくても成れないのだ。これは、男性ならば結婚できないことを意味する。もちろん、住宅より愛という女性もいるにはいるが、いざ結婚となると、そうは問屋が卸さないのが厳しい現実である。

そして、何より“租奴”たちを苦しめるのが大家の横暴である。中国では賃借権が弱いため、出て行けと言われれば出ていく他なく、また臆面もなく家賃を釣り上げてくるのだ。給料が上がっても家賃が上がれば元の木阿弥。大家に搾取されている錯覚すら覚えることになる。

近年は公定の賃貸契約書が使用されるようになり、一時期に比べればマシになっているのだが、基本的に貸し手市場なので、多くの場合、大家は強気だ。そしてこの「大家」も真の家主とは限らず、又貸しである場合もある。こうなると話が厄介になり、払ったはずの家賃を持ち逃げされ、家主から家賃を要求されるようなケースも散見される。

また、中国の物件は基本的にファミリー向けのものばかりなので、そもそも独身者には向かない。このため、若者の多くはルームシェアという形で賃貸費を抑えている。上述の又貸し大家の中には大家族向けの物件に細かく仕切りを入れ十数人に貸し出すような者もおり、社会問題化している。

つらづらと書き連ねてきたが、“租奴”の苦衷は何と言ってもゴールが見えないところだろうか。“房奴”ならローンはいつかは終わり、その物件は真の意味で自分の資産となるが、“租奴”には終わりがない。 故に“租奴”なのであろう。

新語まとめ

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Time:
2013-04-26 Last modified: 2013-04-26