日光族
解説と補足
先々週春節の帰省で1年の貯蓄を使い切る“年光族”を紹介した。既に一般語彙化している“月光族”、長期休暇の一週間で月収を使い切る“周光族”が存在する以上、もしやと思われた方もいるかもしれない。そう、存在するのだ。その名も“日光族”である。
その日暮らしをする日雇い労働者をいうこともあるが、それは社会的には特に問題視されていない。“日光族”として注目を集めているものは、1ヶ月分を1日で使い切る人たちの存在である。理論的に一般人には不可能な消費行動なのだが、そのような人たちが確かに存在するのだ。
謎解きは実に簡単で、1ヶ月分の「収入」はお小遣いのことを指す。そう、子どもたちの話だ。
日本ではそれほど問題にならないような話だが、これが中国では結構な家庭問題なのだ。中国では早くから親元を離れて寮生活を行うケースが多い。中には中学生から寮生活という子も結構いるのだ。そうなると、お小遣いの中には、日常の生活費も含まれることになる。これを1日で使い切られては、親としてはたまらないだろう。
拝金主義が蔓延する現代の中国だが、そのような社会的風潮は自然と子どもたちにも反映され、身不相応な消費に走ってしまうのだ。友人間で交友関係を維持するため、毎月のように飲み会ならぬ「メシ会」が催され、その費用は参加者の一人がすべて持つような、中国の大人社会の行儀がそのまま子ども社会で複製されているケースもあるという。
この背景には、一人っ子世代ということで、親が甘やかしてしまい、際限なく金銭を与えてしまうという家庭教育上の問題も存在する。
社会的風潮を反映してのことであり、その解決は難しいものと思われる。経済が落ち着いて社会的気風が変化するのを待つしかないのではないだろうか。