年光族

中国語新語

年光族(nián guāng zú

日本語訳

春節で1年の貯蓄を使い切る人(※解説参照)

単語

解説と補足

中国も年が明けた。中国人にとっての「正月」は春節である。農暦の祭日なので毎年前後するが、今年は1月31日と、例年より少し早めの正月となった。ここ数年は春節休暇中に中国人旅行客が大挙して訪れるということで、一般の日本人にとっても身近な存在になりつつあるようだ。

日本に多数の旅行客が来ることからもわかるように、この時期は長期休暇となる。そして春節は帰省して一家で過ごすというのが伝統的な過ごし方となる。これらの点は日本の元旦と同じだ。

昨今は春節休暇に旅行をする人も増えており、国内の名勝はどこもパンク状態だ。経済力の向上と人民元の上昇、そしてビザが取りやすくなったこともあり、ここ数年は海外旅行組も急増している。

“年光族”はこの期間に1年の貯蓄を使いきってしまう人のことをいう。この“光”は「何一つ残っていない」ことを意味し、「歳月」を意味する“年光”とは何ら関係はない。“月光族”の「年度」版とも言えるが、“月光族”が身分不相応な消費によって毎月の月給を使い切ってしまう浪費型を言う場合が多いのに対し、“年光族”は止むに止まれぬ「中国的事情」による場合が多い。

この「中国的事情」とは、中国の帰省が日本のそれと比べ、高コスト構造であることをいう。日本では交通費が主な出費となるが、中国の場合、お年玉と親への仕送りが高く付くのだ。

日本のそれと比べ面白いのはお年玉のルールである。まず第一に、全般的に日本のそれより相場が高い。また、日本では年齢に応じて金額が上昇する「年功序列制」が主流だが、中国は年齢を問わず一律である。おまけに子供だけではなく、祖父母も対象となり、金額も子どもより大きくなる。子どもは成人すればそれで終わりだが、祖父母の場合は亡くなるまで続く。不謹慎な表現だが、爺婆に長生きされたらたまらないのが中国式なのだw。もっとも、これらのルールは地域や宗族、家族間の格差も大きいと思われるので、一概には言えないのだが。

そして最大の出費となるのが親への仕送りである。相場はマチマチなのだろうが、月収相当を渡すことも少なくないようだ。少なくとも月収の半分程度は必要となる。

このような高負担のため、“年光族”は“节奴”“礼奴”と称されることもある。この負担を回避するため、帰省しない若者も増えているようだ。

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Time:
2014-02-07