避年族
解説と補足
中国語で正月を迎えることを“过年”という。日本語の「過ごす」と同様、中国語の“过”には「過ごす」の意味があるが、これが転じて「祝う」の意味で用いることができる。“过圣诞节”ならば「クリスマスを祝う」の意味になる。“年”は「正月」、中国では農暦の正月である春節を意味するので、“过年”で春節を迎えることを意味するのだ。
翻って、“避年”は文字通り春節を「避ける」ことをいう。具体的に言えば、春節に帰省しないのだ。実家に帰らない理由は、先週“年光族”で紹介したような経済的な負担を嫌う他に、親や親戚から「彼/彼女はできたのか。」「いつ結婚するんだ。」「早く子どもを作れ。」と根掘り葉掘り問われ、また説教されるのがウザいのだ。
日本は非婚化が進行しているため、結婚適齢期にある若者への社会的圧力が小さくなっているが、中国ではまだ結婚して子どもを作るのが当たり前という観念が強く、帰省の度に結婚を急かされ、果ては望まないお見合いなどを強要されたりするのだ。
日本ほどではないにせよ、中国でも家族の求心力が低下しつつある。“避年族”の出現はそのような中国社会の変化を反映しているのだろう。