坟奴
解説と補足
日本でもかつてバブル時代に墓地価格が高騰したことがあったが、中国でも類似の現象が発生している。イエであろうがハカであろうが、土地がからむものが投機の対象になるのは地価バブルに共通する現象なのだろう。
中国の場合はだだっ広い土地があるように思えるのだが、13億プラスαの民草を養うための耕地を死守せよ、とのお達しがお上(中央)から地方へ下りており、土地需給は逼迫している。このような現状にあって、中央の目を盗みながら耕地を工業用地などに転換している地方政府として、限られた土地資源を死人に与えてやるようなゆとりや気持ちはなく、墓地需給は日に日に逼迫の度を強めている。
政府は海葬など土地を必要としない方式の普及を図っているが、“入土为安”(埋葬すれば極楽往生できる)という伝統意識も強く、普及までには相当の時間を要すると思われる。結果として斎場にお骨を一時保管したまま放置するケースが増加しているようだ。
生きては“房奴”として住宅ローン地獄に喘ぎ、死しては墓地のため“坟奴”なる中国人たち。バブルに振り回されるのは中間層以下の一般庶民であることは日本も中国も同じであるようだ。