鼠族

中国語新語

鼠族(shǔ zú

日本語訳

地下室で暮らす人(※解説参照)

解説と補足

昨年末にマンホールで暮らす“井族”を取り上げたが、それに関連して、地下室で暮らす“鼠族”も紹介しておきたい。

中国の都市部では、住宅は基本的に分譲マンションと相場が決まっている。いわゆる一戸建ては、古い物件や、農村部を除いては、すべて別荘扱いとなるのだ。中国のマンションには、防空壕として準備された地下空間があることが多く、それを改造して安値で貸し出しているのである。

比較的新しい分譲マンションには設計段階から地下室を用意しているものも少なくなく、中には天井付近は地上に出ているものもある。そこには窓がついており、一応外気に接することができる。

とは言っても、居住条件は通常の物件とは比べるべくもない。湿度が高く、ジメッとしている。カビが生えやすいので、どうしてもカビ臭くなる。共有トイレだが、数が圧倒的に少なく、朝は大混雑だ。

それでも人気が集まるのは、やはり安いからだ。北京のような大都市では賃貸価格も上昇が続いており、底辺層には手が届かない。中国では業界間の所得格差が大きく、また初任給が非常に低く抑えられる傾向が強いので、大卒でも初任給では一般的な物件を借りるのはかなり厳しいという人も少なくない。

そんな彼らにできることと言えば、プライバシーを犠牲にしてルームシェアするか、通勤に数時間かかるような、はるか遠く離れた郊外へ移転する他ない。

それでも彼らが北京のような大都市から離れないのは、やはりそれだけの魅力があるのだろう。地域間格差が叫ばれる日本だが、中国のそれは日本とは桁違いであることも、この傾向に拍車をかける要因なのかもしれない。

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Time:
2014-01-10 Last modified: 2014-01-10