血奴

中国語新語

血奴(xuè nú

日本語訳

売血で生計を立てる人(※解説参照)

解説と補足

中国は売血が盛んである。近年はメディアを通じた積極的な献血奨励運動のため、都市部では大学などを中心に献血行為も見られるようになっているが、そもそも血を抜かれるのは体に悪いという伝統的観念が強く、積極的に献血する人は少ない。役所や国営企業などが職員を動員して献血活動を行うこともあるが、中には献血がどうしても嫌で、カネで身代わりを雇う者もいるほどだ。

この穴を埋めるのが売血である。貧困層にとっては売血は手っ取り早い収入手段であり、これで食っている者すら存在する。このような者たちを“血奴”と呼ぶ。一部の貧困地区では売血が産業化しており、“血奴”たちを束ねて報酬を中抜きする“血头”や、その“血头”の上に君臨するボスである“血霸”が存在する。売血も利権化しているのだ。

文字通り組織的に「血を抜かれる」“血奴”だが、彼らは収入源を提供してくれる“血头”や“血霸”に感謝の念を抱いているらしい。貧困とは実に恐ろしいものだ。

需要と供給が存在するのだから売血は必要悪とも言えるが、やはり問題もある。採血の際に針が使い回しされ、血液伝染病を蔓延させてしまうケースがあるのだ。現在は一般的に使い捨ての針が使用されるが、以前は消毒の不十分な針が使い回され、深刻な事態を招いたこともある。中でも有名なのが河南省のエイズ村であろう。

河南省の例は政府が売血を奨励したこともあり、大きな問題となったが、中国では長くタブーとされ、ほとんど報道されることはなかった。後に温家宝前総理が訪問したことで日の目を見ることになったが、未だ自由な取材は許されていないようだ。

新語まとめ

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Time:
2013-05-17