大V
中国語新語
大V(
)日本語訳
多くのフォローワーやファンを抱える公式アカウントもしくは実名登録アカウント(※解説参照)
解説と補足
中国のインターネットサービスでは、企業・団体の公式アカウントや実名登録アカウントのページには「V」マークが付加される。厳密に言えばチェックマークなのだが、アルファベットの「V」に似ているので、そのまま「V」マークのデザインを採用しているところもある。
“大V”はこの「V」マーク付きアカウントの中でも、特に多数のフォローワーやファンを持つアカウントを言う。明確な基準はないのだが、例えば、日本ではTwitterに代表されるマイクロブログに相当する微博(ウェイボー)では、少なくとも数十万のフォローワーを有して初めて“大V”と称せられる。日本の感覚とは桁が一つズレているが、人口の基数が大きく、億単位のネットユーザーが存在するので、芸能人や著名人のような「ビッグ」なアカウント中には一千万単位のフォローワーを擁する者まで存在するのだ。
最近この“大V”が注目を集めるようになったのは、“微博大V”として名を馳せる起業家であり、また投資家でもある「薛蛮子」が買春容疑で逮捕されたことに起因する。薛蛮子は通称で、本名は薛必群、父は革命に参加し、政府高官を務めた所謂“官二代”なのだが、本人は渡米して米国籍を取得している。その後中国へ帰国し、数々の投資を行っているエンジェル投資家である。
彼も一千万単位のフォローワーを有する“大V”なのだが、政府を揶揄する投稿も多く、今回の逮捕劇は「政府の罠ではないのか」との噂も存在する。特に最近は比較的自由であったネット上の言論に対する統制が強化されており、歌手が微博での言論のために逮捕されたり、デマ情報が500回以上「リツイート」されたら発信者は刑事告訴される、とする司法解釈が公布されるなどネット言論への締め付けが厳しくなっていることもあり、政府陰謀説も一定の支持を集めている。
特に「500回規定」は、秒速で到達してしまう“大V”たちにとっては大きな脅威であり、公布後多くの“大V”たちは危なそうなコメントせかせかと削除しているようだ。
ちなみに日本では“大V”に近いものとして、「インフルエンサー」という業界用語があるのだが、インフルエンサーは社会への影響力に重点が置かれているのに対して、“大V”は実名登録が大前提となる。たとえ大きな影響力を有していたとしても、実名登録されていなければ“大V”とは言えないので、ここでは「多くのフォローワーやファンを抱える公式アカウントもしくは実名登録アカウント」という紛らわしい訳を採用している。