中国大妈
解説と補足
2013年4月の金相場暴落の際、中国で取り付け騒ぎを連想させるかのような金争奪戦が繰り広げられた。投資用の金は言うまでもなく、金のアクセサリーまで「売り切れ御礼」となったのだ。
これを受けて……かどうかはわからないが、その後金相場は回復し、空売りを仕掛けていた投資銀行なども手仕舞いをした。ここから、金を買い漁った中国の個人投資家?を、英語で“dama”と称するようになった。そう、“中国大妈”は英語“dama”の中国語訳なのだ。
“dama”は言うまでもなく“大妈”のピンイン表記である。店頭で金を買い漁った人の大半がご婦人であったことに由来する。中国語がそのまま英語になったこと、中国の一般庶民の金購入が国際金融市場を左右したことが注目を集め、これを中国の台頭に重ね合わせた報道も行われた。
もっとも、個人投資家の購入量は、巨大な金の国際市場の中にあっては僅かなものなので、彼女たちの力量は過大に評価されている、と評する向きもあるのだが。
中国人が金買いに走った動機については、経済的、また文化的な側面からさまざまな解説がなされているが、結局のところはインフレのため貨幣価値が目に見えて減り続けている中にあって、他にこれといった投資先がないことに起因している。不動産が高止まりを続けているのもこのためであり、庶民でも手に届く投資先として金が選ばれているのだ。
英語では理性的でない投機行為を形容する言葉にもなっているようだが、彼らがこのような行為に走るのも、彼らなりの合理性が存在しているのだ。