隐孕
解説と補足
中国では女性も結婚後引き続き就業することがスタンダードなのだが、厳しい競争の中コストカットに忙しい企業としては、妊娠出産に関するロスが発生する可能性が高い新婚女性は煙たい存在であることもまた然りである。
このため、採用に際して、一定期間出産しないことを約束させられるケースも普遍的に存在している。また、仮に拘束期間が終了したとしても、一旦妊娠したことがわかると、重要な仕事を割り当てられなくなり、キャリアアップにマイナスになるため、妊娠の身を偽り、仕事を続けるケースが一部で出現している。これを“隐孕”という。
特に出世間近に妊娠が発覚した場合などに“隐孕”に走るケースが激増する。一方で特に妊娠初期は胎児が不安定な時期でもあり、激務や出張などは流産を招く可能性が高まるなど、“隐孕”はハイリスクな行為でもある。
また、妊娠中は情緒も不安定となり、事情を知らない同僚との間で感情的な摩擦が発生したり、隠しきれなくなった段階で仕事の引継ぎに支障が出たりなど、周囲や会社に迷惑をかけることも多く、いろいろな意味で好ましい行為とはいえない。
もっとも、この現象は企業制度が女性の社会進出という社会的変化に対応しきれていないところに起因しており、一概に女性を責めるのもいささか不公平であるように思われる。
ちなみに会社や同僚に隠れて出産までしてしまったケースまで存在する。激務のためか胎児の発育が思わしくなく、おまけに早産だったことが幸い?したらしい。同僚に出産後の体型の変化を激ヤセと勘違いされ、どうやって痩せたのかしきりに尋ねられたという。