中国語電子辞書比較2012 ワードタンクZ900 VS エクスワードXD-D7300
3年ぶりの新機種直接対決となった2012年中国語電子辞書頂上決定戦。まぁ勝敗自体はやるまでもなくわかっていたのですが、どの程度差がつくのかはちょっと楽しみでした。
で、まずはやるまでもなかった勝敗結果ですが、ワードタンクの圧勝。まさかの一年遅れでエクスワードにも猶予期間ができたのですが、さすがに一年では無理みたいでした。それは見事な負けっぷりで、まぁ、何というか、フルボッコに近いというか……
【比較研究報告】最強の中国語電子辞書決定戦 2012年の陣 ~ キヤノン ワードタンクZ900 VS カシオ エクスワードXD-D7300(中国語電子辞書研究所)
ここまで差がついたのは、やはりワードタンクが小学館と講談社の中日日中辞典をダブル収録してしまうという荒業をやってのけたところにあります。これで勝負はありました。他の項目はおまけみたいなものです。
ただ、一つ興味深かったのが、両者の差が一番小さいのが入門・初級レベルなんですね。今回は新たな試みとして入門・初級、中級、上級と対象ユーザ別に評価基準を変えてスコア付けしたのですが、入門・初級が60ポイント差であるのに対して、中級は95ポイント、上級は70ポイントなんです。
入門・初級
ワードタンクには虎の子たる発音学習補助機能が実装されていて、これが入門・初級ユーザキラーなんですが、実は、最も差が小さかったのが入門・初級レベルだった、というのは、ちょっと驚きでした。入門・初級レベルの満点スコアが一番低いことを勘案しても、これはやはりちょっとした発見でした。
入門・初級で差が開かなかった(といっても60ポイント差だけども)原因は、機能型辞書の項目で、エクスワードが20ポイント差で快勝したところにあるようです。XD-D7300で新たに追加された『オールカラー中国語生活図解辞典』がスコアを稼いでいます。このコンテンツは業界初となる中国語の図解辞典で、音声付きの上、重要語彙にはコロケーションもついており、初学者にとっては非常に有用なコンテンツなっています。
やはり他社にないタイプのコンテンツがあるのは強いですね。ワードタンクがベラボウに強いのもこのせいなんですが……
初学者にとっては非常に有用なコンテンツを収録……とは言ったものの、入門・初級レベルの学習者にとってはやはり発音学習補助機能がついているワードタンクは魅力には勝てません。
エクスワード中国語モデルの最大の弱点は、共通プラットフォームに中国語コンテンツを追加して中国語モデルとするカシオの電子辞書ビジネスモデルにあるように思います。中国語モデルだけに発音を録音してお手本と比較できる機能を付ける……ということはできませんし。
中級
中級でスコア差が最も開いているのは、満点スコアが大きいこともあるのですが、入門・初級で活躍した機能型辞書の項目が一転して完敗となっていることも大きいようです。これは入門・初級で評価されたコンテンツが中級ではその威力を失うのに対して、入門・初級では評価されなかったワードタンクの機能型辞書コンテンツが中級以降で評価が高くなることに起因しています。
機能型辞書と学習補助機能で計60ポイント差を付けられてしまっていますから、これではお話になりません。学習補助機能はエクスワード全体で底上げする必要があるのでそう簡単にはいかないのかもしれませんが、機能型辞書は中級以降向けのコンテンツを追加すればいいだけですから、これは比較的簡単なのではないでしょうか。これだけでも差は結構縮まるので、カシオさん、いかかでしょうかか。
上級
上級になると学習補助機能の重要性も下がっているので、純粋なコンテンツ勝負に近くなります。ここでも機能型辞書が総合辞書に次ぐ要因となっており、エクスワードはポイントゼロと完敗。大型辞書コンテンツの語彙数による優勢分が見事に吹き飛んでいます。
兎にも角にもゼロは痛い。何か一つでもコンテンツがあればスコアは付くので、このあたりも来年の巻き返しを期待したいところです。
お値段
電子辞書は本の辞書ように定価販売ではないので、店や時によって市場価格は変動します。次のページで各社の中国語電子辞書の安値を簡単に確認できるようにしているので、参考にしてください。
まとめ
入門初級から上級まで、全段階でワードタンクが圧勝しているので、特に迷うことはないと思います。あとはフトコロ次第ですか。
カシオ的にはすでに昨年のはじめの段階でワードタンクZシリーズのスペックはわかっていたのですから、早ければ来年あたりでメジャーグレードアップが実施されるかもしれません。エクスワードもカラー化してこのかた3年ほどは大きなグレードアップを実施していないので、時間的にもそろそろ……でしょうか。まぁ本当に当てずっぽうの推測ですから責任は取れません。来年のエクスワードを待つ、なんて気の長いことは止した方がいいです。
ワードタンクはエクスワードのように毎年アップデートすることは少ないですから、今年電子辞書を買う人はラッキーです。素直にワードタンクにしましょう。