硕士后(ポスマス)と学士后(ポスバチュ)
解説と補足
日本では一般に「ポスドク」と呼ばれるポストドクター(中国語では“博士后”)に倣った制度で、大卒、院卒者を対象とした一種の研修制度である。
※ポストドクター
「ポストドクター(ポスドク)とは英語の Postdoctoral fellow の事で、博士号(ドクター)を取ってすぐ後の研究者をさす。その職は数年以内の契約制で博士研究員とも呼ばれる。英語圏では省略して Postdoc と呼ばれることが多い。」(※Wikipedia参照)
この制度を提案したのは北京市政協委員の孫狄。大卒院卒の就職難対策を目的としたものである。
中国も多分に漏れず金融危機の荒波を受けており、特に新卒の就職難は空前の状態に陥っている。このため新卒の就職問題が深刻な社会問題となり、さまざまな対策が打ち出されているのだが、その中でも特に議論を呼んでいるのがこれである。
「ただ問題を先送りするだけ」「新卒のタダ働きを制度化するのか」というような批判の声も多く、現在のところ採用される見込みはないようだ。
ちなみに大学新卒の就職難については今年に限った話ではなく、ここ数年継続して発生している。高度成長期にあるのになぜ就職難なのか……それは、ここ10年ほど大学入学枠を大幅に増やしてきたためだ。
97年アジア通貨危機のあおりを受けて経済が停滞した際、中国人の教育熱を見込んで民間の教育投資による内需喚起と、当面の就職問題を解消するために大学入学枠を拡大したのだが、このツケが今回ってきている。大卒の受け入れ先がそれほど増えなかったためだ。
大学新卒の初任給が出稼ぎ農民と同レベルまで落ち込んでいるので、一部地域では進学を放棄する現象すら発生している。そのような中で提案されたこの制度、採用される日が来るのだろうか。