拜鬼

中国語新語

拜鬼(bài guǐ

日本語訳

※解説参照

単語

解説と補足

安倍首相の靖国神社参拝の波紋が広がっている。小泉首相以来の現役首相参拝ということで、予想通り中国は激しい反応を示した。

その中国で安倍首相の靖国参拝を形容して使われた表現が“拜鬼”である。日本語で「鬼」と言うと、金棒を持った、時にコミカルなイメージの鬼が連想され、また「仕事の鬼」というような、プラスのイメージを帯びる表現として使われることも多いが、中国語の“鬼”はマイナスイメージが強く、おどろおどろしい、あえて言うのならば「魑魅魍魎」のようなイメージが先行する。

“拜鬼”は、彼らが非難するA級戦犯を“鬼”に見立てたものだ。小泉首相の靖国参拝の際に使われ始め、今や日本の政治家の靖国参拝を報ずる記事では必ずと言っていいほど使われる表現となった。

ここでは安倍首相の靖国参拝の是非については言及しない。ただ、今回面白かったのは、参拝が行われた12月26日という日が絶妙だったことだ。安倍首相にとっては首相就任一周年という区切りの日だったという話に過ぎないのだが、この日は毛沢東生誕120周年に当たる日で、当日中国のトップ7人が首を揃えて毛主席紀念堂を「参拝」していたのだ。

毛沢東は中国現政権の生みの親だが、犠牲者数が千万単位に上るとも言われる、中国を混乱の極みに陥れた文化大革命の「首謀者」であることは公然の「秘密」であり、その記憶が残る人たちにとっては、“拜鬼”という表現が中国トップの毛主席紀念堂を参拝に重なったのだ。

安倍首相がそれを狙っていたとは思わないが、こと日中関係においては、何かと偶然が重なることが多い。自衛隊の視察で首相が乗った戦闘機の番号が「731」だったり、新たに就航した空母っぽい護衛艦の「いずも」の名称が日清戦争時の日本海軍の旗艦と同名だったりetc...

日中間にはいろいろな「記念日」が多いので、地雷を踏みやすいのもその一因なのだが、時勢が時勢だけに、偶然が意図的であるものと解釈されがちである。そのあたりは意識してカードを切ってほしいと思う。

ちなみに右上の写真は天安門に位置する毛主席紀念堂。習近平他6名がここを訪れた直後に安倍首相が靖国神社を参拝した。

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Time:
2014-01-24 Last modified: 2014-01-24