評論家・宋文洲氏の福島香織バッシングについての雑感

KINBRICKS NOWで取り上げられていたのを読んで、ちょっと興味を持ったのでBLOGに書いてみたい。

宋文洲氏は、言わずと知れた……かどうかは知らないが、知っている人は知っている、外国人として日本で起業して上場に成功した初めての起業家である。後に企業経営からは退いて、今は評論活動やコンサルをやっているようだ。私も彼のメルマガを読んでいた（ここ数年は知的興味をそそられなくなったので積読状態）し、Twitterでもフォローしている（けどタイムラインは見ないので何を言っているのかは知らない。）。

日本のテレビによく出演しているようなので（私はテレビを見ないので彼がどのような発言をしているのかは知らない）、日本では結構有名なのだろう。Twitterでフォローワーが17万いるのはその証左であろう。

それはさておき、本件に関するTogetterのまとめを参照してみたが、確かに酷い。はっきり言って目も当てられないレベルだ。ファンとまで言えないが、以前は宋文洲氏に好感を抱いていただけに、ここまで劣化しているのを目の当たりにするのは、正直言ってショックだった。

なお、氏は中国でも評論家として活動しており、かの環球時報の電子版にもコラムを持っている。そして、その論調は日本の宋ファンが腰を抜かすようなバリバリのタカ派なのだ。

氏の中国での評論活動を逐一チェックしている訳ではないので断言はできない。しかし、時折中国のニュースサイトの関連記事経由で彼のコラムを目にすることがあるのだが、その内容は日本の右派を彷彿させるものばかりだ。日本のファンは、経営系を除くと左向きの人が多いと思うが、そんな彼らに氏のタカ派言論を見せてあげたいとつくづく感じてしまう。

まぁ、氏の言動については同情の余地もある。氏は拠点を北京に移しているようなのだが、氏のような経歴の持ち主は、現在の中国では非常に肩身が狭い。少しでも日本に理解を示すような言葉を吐いた途端に国賊扱いされてしまうからだ。氏が中国で活動するつもりならば、これは致命的だ。これは氏に限らず、親日派とみなされやすい人ほど、公的には日本に対して厳しい言論を吐く傾向が強い。日中関連のフォーラムなどで、それまで日中関係について普通に話していた中国人登壇者が、会場で中国人記者が発言を記録しているのを知った途端に中国政府公式の主張に沿った発言を始めるようなケースもある。これが今の中国社会の「空気」なのだ。

一方で、言論の自由が存在する日本では、法的には言うまでもなく、安倍嫌いの左派も多数存在するので、その立場に立って言論活動を行っても社会的に封殺されることはない。それどころか、左派層からの強い支持も期待できる訳で、その意味では氏の言動は非常に合理的なのだ。

もっとも、氏の言論には、今回の件のようにクエッションマークを付けたくなるものも少なからず存在する。今回の件にしても、中国人として日本語能力に限界があるとしても、日本の大学を出ているのだから、文脈を読み取るぐらいの能力はあると思うのだが。そうでなければ、悪意があるとしか思えない。

日本で右派と論争している間に、変な愛国心が芽生えてしまったのだろうか。それとも日中関係悪化のストレスで、精神的に病んでしまったのだろうか。もっとも、もともとこんな人だったという可能性も否定できないのだが……

ちなみにだが、中国人は福島香織さんが嫌いなのだろうか。私は、福島さんの言論に中国への愛を感じるのだが……