中国語電子辞書三国志……キヤノンワードタンクV903 vs カシオエクスワード中国語モデル vs シャープパピルスPW-LT220
春ですね。桜の花舞う季節です。学徒たちが卒業と入学を迎えるこの季節は学生向けの電化製品が集中的にリリースされます。
電子辞書もその一つ。中国語需要が伸びるに従って中国語電子辞書も充実してきており、中国語学習に欠かせないアイテムとなりつつあります。
今年の春は中国語電子辞書の王者キヤノンとその対抗馬カシオに加え、新たにシャープの中国語電子辞書も語るに値するレベルの電子辞書をリリースし、中国語電子辞書もいよいよ三国鼎立時代です。
ざっと見たところやはり王者キヤノンは強いですね。前作は液晶が暗いという非常にくだらない(でも重要)欠点に泣きましたが、今回はバックライトをつけたとアピールしております。メインコンテンツは更新されていませんが、方言コンテンツを取り込んでいる所は注目に値するでしょう。
もっとも、今作の売りは一部マニア受けするような新規コンテンツではなく、機能面の強化にあります。
方言コンテンツの追加を受けて生まれた方言間差異比較機能「中国語地方言語リンク」は大体想像がつきますが、言葉を有機的に関連付けて関連項目や類語から対象となる言葉を検索するとかいう「中国語概念リンク」なる新しい概念の検索機能は神秘的。使ってみてのお楽しみ、か。
あと、USB接続でパソコン内のテキストについても語彙検索できてしまうところは大注目ですね。要は中国語辞書ソフトとも競合関係が生まれたことになります。喩えればガス会社が電気業界に殴り込みをかけるようなものです。まだ検索できるだけで電子辞書からパソコンへ自由にコピペしたりできないようですが、今後はどんどんパソコンの領域に足を踏み込んでくるんでしょう。面白くなりそう。
その他の機能、コンテンツも相変わらず他社比で圧倒的。英中中英辞書と中中辞書を収録している唯一の電子辞書ですし、発音を録音して模範発音と比較できるのも未だにワードタンクのみ。もう少し接戦になってくれた方が面白いのですが。
一方対抗馬のカシオ。パッとしません。ライバル他社に比べ2ヶ月近く早く市場投入したのである程度囲い込みできているのかもしれませんが、機能的にキヤノンとの格差は一層開いちゃってます。電子辞書No.1を謳う企業なのですから、中国語でもその名に恥じぬだけのものをリリースして欲しかった。
最後に、今回中国語手書き入力機能を搭載して、はじめて評価対象になったシャープのパピルス。コンテンツ、機能共にはキヤノンのワードタンクには遠く及びませんが、これから中国語を始める入門者にターゲットを絞って入門レベル中国語学習コンテンツを充実させたマーケティング戦略には座布団一枚。旺文社の通信教育教材「ゼロからカンタン中国語」をリスニング学習コンテンツの目玉として取り込んだのは大きい。これがなければ入門から上級までキヤノンの独壇場になっていたところでした。
私たち消費者の立場から言えば適度な競争が存在する方がメリットが大きいですから、3社ぐらいで適度に競い合ってもらうのは大歓迎。でもキヤノンが強すぎて他2社が引いてしまいそうなところまで来ていますから、今後が多少心配ではあります。なんだかんだいって市場規模は英語のそれとは比べ物にならないので。中国語に対するこだわりを感じさせてくれるのはキヤノンだけで、他2社は英語電子辞書を作るついでに……という感が否めないのが正直な感想です。
「キヤノン ワードタンクV903」「カシオ エクスワード中国語モデル」「シャープ パピルスPW-LT220」についてはそれぞれ下記のページで詳しくレポートしています。
- 「CANON WORDTANK(キヤノン ワードタンク)V903」
- 「CASIO Ex-word(カシオ エクスワード)XD-GP7350、XD-GS7300」
- 「SHARP Papyrus(シャープ パピルス)中国語モデルPW-LT220」
そして3社中国語電子辞書の比較については次のページでレポートしていますので、ご参照ください。