中国毒ギョーザ事件と日本の食問題
先に毒ギョーザ事件についてまとめてみましたが、日本の食の問題とも深く絡んでいるので、これに絡めてちょっとだけ感想を。
食を海外に依存する日本。昨年は原油価格の高騰を受け軒並み商品価格が高騰しましたが、長くデフレ社会であった日本でも、各分野でインフレ(減量による実質値上げも含む)の足音が聞こえるようになってきています。
経済発展により豊かになってきた途上国が増加し世界的なインフレ時代に突入している中で、農政は与野党共に「バラマキ」しか能がなく、中国の「最悪の資本主義」(by趙紫陽)ならぬ「最悪の民主主義」をやっています。
「食の安全」については毒ギョーザ事件のように、平時でも常に危険性をはらんでいます。食の安全がテーマになると輸入品にばかり注目が集まりますが、これは国産でも同じこと。今更ロス疑惑ネタで盛り上がる余裕など今の日本にはないのでは。
「農薬・化学製品=危険・悪」「天然・自然=安全・善」と問題をはしょって単純化してしまう傾向が強いところにも危機感を覚えます。科学的に検証された、食用可能な化学製品を拒否する一方で、何が入っているのかわからない自然食品を「安全」と持ち上がる風潮は危険この上ありません。毒キノコだって自然食品ですよ。食べますか?
農薬だって適切に使用すれば問題ありません。本当の意味で完全無農薬の農作物を作ろうとすると膨大なコストと労力がかかります。一般庶民の台所を支えるためには、農産物の遺伝子操作を否定するのなら農薬は欠かせません。
農政についてもカロリーベースというゴマカシで自給率を操作し、食料安全保障や水田による国土保全の大義の元に農業保護という名の既得権益保護が続いています。その一環として需要の減少に合わせて減反を進めていますが、減反は水田の国土保全機能を破壊する行為であり、農業保護主義の矛盾を露呈しています。
水田の国土保全機能を考えるならば、今のように国内需要に合わせて減反するのではなく、輸出できるだけの生産性を確保する方が重要です。補助金をつけてでも輸出させる方が望ましいのではないでしょうか。
食料安全保障という観点から考えても、輸出出来るだけの生産力があることは、非常時における耐久性を高めることにつながります。また、農産品を開放できれば、貿易交渉で農業に足を引っ張られることもなくなります。
日本経済を支えているのは工業分野です。韓国や中国に追い上げられている今、これ以上農政に足を引っ張らせるわけにはいかないのではないでしょうか。