速読のお話
先日速読プログラムを提供している会社から広告掲載の依頼がありました。速読をやっている人は自己啓発意識が強く、語学をやっている人も多いそうで、それで私のところにも、という話でした。
実は、かくいう私も一昔前速読をやっていたのですね。語学もやっている人が多い、という話を聞いて、ああそうなのかぁ、と妙に納得した次第です。
まぁ、やっていた、といっても、基礎づくりのための視覚訓練ソフトを使っていた、というだけの話なので、本当にかじっただけ。目を酷使するライフスタイルを送っていたので、眼の筋肉をほぐすのにもいいかな、という、かなりライトなノリでしたが。
ソフトの仕様そのものはすごくシンプルで、目を高速で上下左右に動かしていくものでした。文の両端(横書きなら左右、縦書なら上下)に交互に視点を移していきます。文字で説明するよりも、実例を見てもらった方がわかりやすいと思うので、以下にサンプルを。
①吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何で②
③も薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾④
⑤輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生とい⑥
⑦う人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕⑧
⑨えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別⑩
⑪段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時⑫
⑬何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生⑭
⑮の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと⑯
⑰思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつる⑱
⑲つるしてまるで薬缶だ。その後猫にもだいぶ逢ったがこんな片輪には一度も出⑳
こんな感じです。上から順番に、左右の丸数字に視点を動かしていきます。文を読む必要はありません。ひたすら数字順に視点を動かしていくだけです。上記の例は左右に動かしますが、縦書ならば上下になります。いずれの場合もやり方は同じです。
わたしは実感できませんでしたが,視点を高速で動かし、眼の筋肉を刺激するため、視力回復効果もあるそうです。ただ、速読を学ぶ中で覚えた目の体操は、今でもたまにやっています。
元々読書好きで本を読む速度は早いのですが、速読の理論に従って読んでみると、確かに早いのです。ポイントは読み上げないこと。人は読書の際、たとえ声に出さなくとも、脳内で音読しているものなのですが、速読ではこれを止めます。これだけで俄然早くなるのです。「これだけで」というのは少し語弊があり、この音読癖が厄介なのですが、視点を高速で動かしていくと、脳内音読がついていかなくなるので、意識して視点を高速で動かす訓練もします。
これにプラスして、視覚を広げることでさらに加速させます。一行ずつではなく、複数行まとめて読むのです。なんか変な表現ですが、音読ではなく、視読だとこれが可能になります。レベルの高い人は1ページ、果ては見開1ページまとめて読むようになるわけで、それであの驚異的な速度になるのです。
私にはそこまではできませんが、数行ならばできます。そういえば、昔は中国語文を使って速読の練習をしたこともあったような。
また久しぶりにやってみたくなってきました。
速読に興味のある方はこちらをどうぞ。
私はともかくとして、子どもが小学生ぐらいになったらやらせてみたいです。子供の方が飲み込みが早いそうですし。特に中国は小学校から宿題漬けで学習ストレスが大きいので、中国で通わせるのならば、速読を身につけてほしいものです。そうすれば学業もラクになり、遊ぶ時間を少しでも多く確保できるでしょうから。